エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
だがそこまで言いかけて、夏彦が含みのある目でこちらを見ていることに気が付いて言葉を切る。
口元は笑みを浮かべながら、彼のその目はまったく笑っていなかった。
急に話すのをやめた清司郎を不思議がるわけでもなく、夏彦はジッとこちらを見ている。
奇妙な沈黙がふたりの間に横たわる。
そして夏彦が口を開いた。
「お前、あの女にいくら出したんだ?」
「……は?」
「とぼけるなよ、千春と結婚するために結城社長に金を払ったんだろう?」
突然爆弾を投げつけられて、清司郎は絶句して目を見開く。そこへ夏彦がたたみかけた。
「あの結城社長が千春をなにもなしに手放すわけがない。ましてや俺との結婚が決まっていたんだ。親父を通してつながりがある俺だって、結納金名目でいくらか払う話になってたんだぜ。お前、それ以上の金を払ったんだろう、いくらだ?」
怒りで目の前が真っ赤になった。拳を痛いくらいに握りしめて、頭が沸騰するような感情を清司郎はやり過ごす。そうでもしないと今すぐに目の前の男を殴り倒してしまいそうだ。
『私の命は私だけのものじゃない』
そう言って、すべてを諦めていた千春、人形のようだった彼女の暗い瞳が頭に浮かんだ。
こういう奴らが千春にあんな言葉を言わせたのだ。
千春から希望を奪っていったのだ。
「……お前、千春を好きだったんだろう? どうしてそんな言い方を……!」
清司郎は唸るような声を出す。
父の話では清司郎がアメリカにいる間、彼は熱心に千春に会いに来ていたという。妻にしたいと願った女性をまるで物のように言う神経が、理解できなかった。
「そうだ!」
夏彦が憎々しげに清司郎を睨んだ。
「俺が先に目をつけたんだ! 親父の視察で見つけて、結城社長に話をつけた。社長は手術が終わったらすぐにでも千春を俺にやると約束した。それで話は決まっていたのに……! お前が金に物を言わせて横取りしなければあいつは今頃俺のものだった!」
口元は笑みを浮かべながら、彼のその目はまったく笑っていなかった。
急に話すのをやめた清司郎を不思議がるわけでもなく、夏彦はジッとこちらを見ている。
奇妙な沈黙がふたりの間に横たわる。
そして夏彦が口を開いた。
「お前、あの女にいくら出したんだ?」
「……は?」
「とぼけるなよ、千春と結婚するために結城社長に金を払ったんだろう?」
突然爆弾を投げつけられて、清司郎は絶句して目を見開く。そこへ夏彦がたたみかけた。
「あの結城社長が千春をなにもなしに手放すわけがない。ましてや俺との結婚が決まっていたんだ。親父を通してつながりがある俺だって、結納金名目でいくらか払う話になってたんだぜ。お前、それ以上の金を払ったんだろう、いくらだ?」
怒りで目の前が真っ赤になった。拳を痛いくらいに握りしめて、頭が沸騰するような感情を清司郎はやり過ごす。そうでもしないと今すぐに目の前の男を殴り倒してしまいそうだ。
『私の命は私だけのものじゃない』
そう言って、すべてを諦めていた千春、人形のようだった彼女の暗い瞳が頭に浮かんだ。
こういう奴らが千春にあんな言葉を言わせたのだ。
千春から希望を奪っていったのだ。
「……お前、千春を好きだったんだろう? どうしてそんな言い方を……!」
清司郎は唸るような声を出す。
父の話では清司郎がアメリカにいる間、彼は熱心に千春に会いに来ていたという。妻にしたいと願った女性をまるで物のように言う神経が、理解できなかった。
「そうだ!」
夏彦が憎々しげに清司郎を睨んだ。
「俺が先に目をつけたんだ! 親父の視察で見つけて、結城社長に話をつけた。社長は手術が終わったらすぐにでも千春を俺にやると約束した。それで話は決まっていたのに……! お前が金に物を言わせて横取りしなければあいつは今頃俺のものだった!」