エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~

ホテルの夜 清司郎

 電気が消えたホテルの部屋は、ベッド脇のルームランプにだけに明かりが灯っている。
 ベッドで眠る千春を清司郎は注意深く見守っている。

 夕方に気が付いた彼女の熱は、夜になるにつれ少し高くなった。
 着替えさせて、ベッドに寝かせて、さっき念のため持ってきた解熱剤を飲ませたからもう少しで効いてくるはず。
 無理をさせて病院へ連れて行くほどではないと判断して、清司郎は看病を続けている。
 慣れない場所で慣れないことをしたから少し疲れてしまっただけ。部屋を取っておいてよかった。

 でも眠る彼女の苦しげな呼吸のリズムに胸が痛くなった。
 手術をする前は別になにか特別なことがなくてもこのようなことは頻繁にあった。
 その度に清司郎は彼女を失うかもしれないという恐怖に襲われたのだ。
 目を閉じて、自分自身に言い聞かせる。
 大丈夫だ、手術は成功した。
 熱さえ下がれば……。
 額に浮いた汗をタオルでそっと拭う。
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