エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 清司郎は息を吐いて目を閉じる。
 彼女が出ていってからずっと、身体は疲れていても眠れないという日々が続いている。いくらなんでも少し休まなければ。
 でもその時、胸ポケットのPHSが鳴る。画面を確認して清司郎は舌打ちをした。

 総合受付からだった。
 出ると案の定、結城絢音が来て面会を希望しているという。
 すぐさま断ろうとして、でもはたと思いあたる。

 そうだ、絢音は結城家の人間だ。

 彼女からの頻繁なコンタクトは、清司郎が帰国してから始まったが、今現在千春とどういう関係なのかはわからない。
 子供の頃の関係と現在進行形のあからさまな清司郎への好意を考えると、お世辞にも改善しているとは思えないが、それでも千春にたどり着くための糸口にはなるかもしれない。
 結城家の側が弁護士を立てた以上、清司郎はもう直接結城家に行くことはできない。

《先生、どうされますか?》

 遠慮がちな受付職員からの問いかけに清司郎はPHSを握りしめて答えた。

「お通ししてくれ」
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