エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 でも先を行き、ダイニングテーブルにガチャリと鍵を置く清司郎の背中を見つめて、また少し不安になる。
 いつも優しい清司郎がここまで不機嫌なのはとても珍しいことだった。
 見合いの日に千春を連れ帰った時以来だろうか。

「あの……清君……?」

 千春はためらいがちに呼びかける。
 清司郎が振り返り千春を見て眉間に皺を寄せた。

「千春、服を脱いで」

「…………え?」

 唐突すぎるその言葉に、千春は小さく首を傾げる。
 清司郎が繰り返した。

「そのワンピースを脱いで、今すぐに」

 それでも反応できない千春に、清司郎は焦れたように舌打ちをする。そして戸惑う千春の元へ歩み寄り、突然抱き上げた。

「きゃっ……!」

 千春を腕に抱いたまま彼はスタスタとリビングを横切り、やや乱暴にダイニング脇のドアを開く。
 その先は少し小さな部屋だった。
 余計な物はなにもなく、隅にベッドが置かれている。リビング同様足元まである大きな窓からは湖を眺めることができた。

「ここは……?」

 尋ねると、不機嫌な声が降ってくる。

「俺のベッドルーム。ほとんど使ってないけど」

 そしてそのままベッドに降ろされた。

「あっ……!」

 ひんやりとしたシーツの上で千春が体勢を立て直すより早く、背中のホックに手がかけられる。

「せ、清君……ま、待って!」

 ほとんど反射的に身をよじり、抵抗する千春をねじ伏せて、清司郎はファスターを下してゆく。
 乱暴ではないけれど抵抗できない力加減で、清司郎の手が千春からワンピースをはぎ取った。

「っ……!」
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