エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 たまらずに千春はそう訴える。このままではどうにかなってしまいそうだった。
 清司郎が一旦止まり、情欲の炎を灯した瞳で千春をジッと見つめた。

「なに? 千春、……嫌? 身体つらい?」

「そ。そうじゃなくて……」

 千春は慌てて首を振った。

「だ、だって、こ、この前はこんな風にしなかったのに……」

 ようやくそれだけを言って千春は目を伏せる。はじめての夜とはまったく違う始まりに、戸惑っていることを伝えたかった。
 あの夜はもっとゆっくりで、どこか彼も冷静だった。
 こんな風に性急にたくさんの場所に触れなかったのに。

「ああ、そういうこと」

 清司郎が眉を上げた。

「あの夜は千春ははじめてだったから、びっくりしないように、特にゆっくりしたんだよ」

 言いながら、人差し指で千春の胸元にそっと触れる。千春の鼓動が彼の指に応えるようにとくんと跳ねた。

「俺としても千春の身体の反応を見ながらでないと心配だったから。まあ、リハビリみたいなもんだったな。……本当は、あんなもんじゃないんだよ」

「リ、リハビリ……?」

 千春は呟いて目を見開く。
 優しくしてくれたことはわかっていても、あの夜の出来事は千春にとっては衝撃の連続だった。あんなもんじゃないのなら、本当はいったいどんなものなのだろう。
 清司郎がくすりと笑みを漏らして、千春の身体にまたキスを落とし始める。

「もちろん、無茶をしたりはしない。でも千春ももうなにをされるかわかっただろう。俺もだいたい加減がわかったから、今夜はギリギリまで攻めてみようと思う」
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