エリート心臓外科医の囲われ花嫁～今宵も独占愛で乱される～

別荘の朝

　赤や黄色、オレンジ色に染まる木々が映り込む水面に太陽の光が反射してキラキラと輝いている。
　少しモヤががかった朝の湖畔で、水鳥が気持ちよさそうに羽を広げていた。
　千春はきゅうりを切る手を止めて、それをキッチンから眺めている。
　すべてのものが煌めいて、まるで自分を祝福してくれているように思えた。

　リビング脇の扉の向こうでは清司郎がまだベッドの中にいて寝息を立てている。
　昨日は夜勤明けだったと言っていたから、彼が自然に目を覚ますまでは寝かせてあげようと千春は思っていた。

　少し早く目が覚めた千春の方は、彼が起きたらすぐに食べられるように朝食を作っている。
　料理など、ほとんどする機会がなかった千春だから、朝食といってもせいぜいがサラダやフルーツを切るぐらいだが、それでも彼と一緒に向かえる朝に、こうしていられること自体が嬉しくてたまらなかった。
　あらかたの物はできた。
　あとは彼が起きてきたら、パンをトーストして…そうだ、コーヒー用のお湯もあらかじめ沸かしておこう、千春がそう思った時。