エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 千春はワクワクして清司郎を見上げる。
 でも彼は千春のその提案に少し難しい顔になった。 

「……ちょっと待ってて」

 そしてリビングからウッドデッキへ出て、少し考えてから首を横に振った。

「ダメだ、ちょっと寒い」

「えー!」

 千春は声をあげる。

「上着を着れば大丈夫だよ! さっき少し出てみたけど、気持ちよかったよ」

「ダメだ。もう少し暖かくなってから。昼ならいいぞ」

 そう言ってさっさと朝食をダイニングテーブルに運び始める清司郎に、千春はため息をついた。

「もぉ、清君ったら、本当に過保護なんだから……」

「……千春、お前なぁ」

「だって先生だったら、絶対にいいって言ってくれたわ。清君だって、普通の人と同じような生活をしていいって言ってくれたじゃない。激しい運動以外は……」

 千春は口を尖らせてぶつぶつ文句を言う。
 すると清司郎が千春のところへやってきて、また千春を腕の中に閉じ込めて、じろりと千春を睨んだ。

「今の主治医は俺だ」

「だ、だからって……」

「千春、確かに俺は激しいスポーツ以外は大丈夫と言った。千春の心臓は元気に動いてくれているが、疲れさせすぎるのはよくないからだ。つまりスポーツ以外でも疲れる行為には注意が必要だということだ。……思い出してみろ、俺たち昨日の夜はなにをした?」

「……っ⁉︎」

 最後は耳を食むようにして囁かれたその言葉の意味するところに気が付いて、千春の頬は真っ赤になる。
 昨夜の出来事が頭に浮かんだ。
 昨夜千春と清司郎は一カ月ぶりに愛し合った。それは、ギリギリまで攻めると言った彼の言葉どおり、はじめての時とは比べ物にならないものだったのだ。
 清司郎は終始優しかったが、それでも千春にとってはハードだったことには違いない。

「千春に負担をかけすぎないようにはしたつもりだが、でも相当疲れたはずだ。千春だって、それはわかっているだろう? 現にこの前よりも……」

「ス、ストップ! ストップ!」

 このままでは昨夜の出来事を具体的に口に出してしまいそうな清司郎に千春は思わず声をあげる。
 清司郎が眉を上げて千春を見た。

「お……お昼まで我慢します」

 モゴモゴと言うと、清司郎が満足そうに頷いた。
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