エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 清司郎がため息ついた。

「手術が成功してからも、結城社長からの仕打ちで千春はそれどころじゃなかっただろう。あんなお前を見るのは本当につらかったよ……。とにかく早く元気になってほしかった。だから俺の気持ちを言うのはすべてのことから千春を解き放ってからだと思ったんだ」

「清君……!」

 たまらなくなって、千春は彼にしがみつく。胸が苦しいくらいに切なくて、目の奥が熱くなった。
 そうだ。
 手術をする前の千春は、未来への不安と叔父の呪縛にがんじがらめにされていて、清司郎への想いも自ら封印していたのだ。
 そんな時に彼から愛を告げられても受け止めきれなかったに違いない。
 千春のために誰にもできないことを成し遂げてくれた清司郎。それなのに、彼はそれを千春のために封印していたというのだ。
 これを、愛と呼んでいいのだろうか。
 そんな言葉で表していいのだろうか。

「清君、大好き。愛してる……!」

 温かい胸に抱かれながら、千春は想いを繰り返す。
 今まで言えなかった分をどうにかして埋めたかった。
 でもやっぱり、どんな言葉も少し足りないように感じた。

「愛してる。言葉じゃ言えないくらい……!」

 清司郎がそんな千春をしっかりと腕に抱いて、千春の耳に囁いた。

「俺もだ」
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