エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
開かれた未来
コンコンという木を叩く音や、威勢のいい大工の声が八神家の庭に響く。千春が使っている離れを少し広げる工事が急ピッチで進んでいる。
庭のベンチに座り、千春はそれを眺めていた。
「やあ、随分進んだね。出来上がりが楽しみだ」
声をかけられて振り返ると、白衣姿の康二が立っている。
「先生」
千春は笑顔になって呼びかけるが康二が眉を上げたことに気が付いて、少し慌てて「お義父さん」と言い直した。
康二が千春の方へやってきて隣に腰を下ろした。
「いいものができそうだ」
その言葉に千春は頷いた。
今目の前で行われている工事は、千春と清司郎がふたりで住むために離れを拡張するものである。
千春と清司郎が本当の夫婦になったのを機にふたりが気兼ねなく新婚生活を送れるよう計画されたのだ。
当初清司郎は、家を出ようと言った。すぐ近くに部屋を借りればふたりだけの新婚生活を送りつつ、康二や小夜とも交流が持てる。
でもそれに、千春は頷けなかったのだ。
八神家とこの庭は千春が人生を取り戻した場所だ。この場所にいたからこそ元気になれたのだと心から思う。
どうしても離れがたかった。
できるならこのまま一緒に住みたいという千春の気持ちを康二が受け入れてくれて、なら離れを改装しようということになったのだ。
「でも結局庭を少し潰すことになってしまいました……」
千春は眉尻を下げた。
もともと千春がいた部屋は夫婦の寝室に、その隣に清司郎の書斎を新たに設けてキッチン、トイレと少し水回りを足したら、大掛かりなものになってしまった。
庭のベンチに座り、千春はそれを眺めていた。
「やあ、随分進んだね。出来上がりが楽しみだ」
声をかけられて振り返ると、白衣姿の康二が立っている。
「先生」
千春は笑顔になって呼びかけるが康二が眉を上げたことに気が付いて、少し慌てて「お義父さん」と言い直した。
康二が千春の方へやってきて隣に腰を下ろした。
「いいものができそうだ」
その言葉に千春は頷いた。
今目の前で行われている工事は、千春と清司郎がふたりで住むために離れを拡張するものである。
千春と清司郎が本当の夫婦になったのを機にふたりが気兼ねなく新婚生活を送れるよう計画されたのだ。
当初清司郎は、家を出ようと言った。すぐ近くに部屋を借りればふたりだけの新婚生活を送りつつ、康二や小夜とも交流が持てる。
でもそれに、千春は頷けなかったのだ。
八神家とこの庭は千春が人生を取り戻した場所だ。この場所にいたからこそ元気になれたのだと心から思う。
どうしても離れがたかった。
できるならこのまま一緒に住みたいという千春の気持ちを康二が受け入れてくれて、なら離れを改装しようということになったのだ。
「でも結局庭を少し潰すことになってしまいました……」
千春は眉尻を下げた。
もともと千春がいた部屋は夫婦の寝室に、その隣に清司郎の書斎を新たに設けてキッチン、トイレと少し水回りを足したら、大掛かりなものになってしまった。