エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 計り知れないプレッシャーを背負いながら、それでも彼はやるしかなかった。
 千春を救える医師は今の日本でただひとり、彼だけだったのだから……。
 膝に置いた手にぽたりぽたりと熱い雫が落ちるの感じて、千春は自分が泣いていることに気が付いた。
 喉が熱くてなにも言葉にできなかった。
 千春の病気を治したことで目標は達成したと言い切った清司郎。
 手術の夜に出た熱は極度の緊張とプレッシャーに彼の身体が悲鳴をあげていた証だったのだろう。

「千春ちゃん、どうやらあいつはバカがつくくらい千春ちゃんを好きなようだ。どうしても千春ちゃんのそばにいたいらしい。……あいつを、よろしく頼む」

 そう言って頭を下げる康二に、千春はもはや返事をすることもできずに両手で顔を覆う。
 感謝の思いと、彼への愛が涙となって溢れ出るのを止めることができなかった。
 泣き続ける千春の肩に置いて、康二が庭の木々を見上げる。
 優しい風がそよそよと吹いて緑の葉っぱを揺らしていた。
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