エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 その小夜の話では今千春がいる部屋は屋敷の離れで、母屋とは渡り廊下で繋がっているのだという。
 だから夜中に清司郎が病院から呼び出されたとしても千春の眠りが妨げされることはない。それでいて、ベッドサイドにはナースコールが設置されていて、直接病院へ繋がるようになっている。更に夜中には小夜が何回か見回りにくるというのだから、完璧だ。

「さすがは、主治医ね」

 どこか皮肉を込めて千春は呟く。
 するとドアがノックされて、白衣姿の清司郎が現れた。
 小夜が入れ替わるように部屋を出て行った。

「顔色はいいな。よく眠れたみたいだ」

 一通り千春を診察して、清司郎は安堵したように息を吐く。そして気を取り直したように千春を見た。

「さて、昨日の話は覚えているな」

 俺と結婚しろという清司郎からの要求を、昨夜千春は承諾した。
 用意されていた婚姻届にもサインをしたから、もう千春と清司郎は夫婦なのだ。

「婚姻届は出しておいたから、今日からお前は俺の妻だ。俺の言うことはなんでも聞け。医療費は俺が支払ったんだから」

 昨日に引き続き高飛車に言う清司郎に、千春は身構える。
 いったいなにを要求されるのだろう。
 もちろん、千春が元気でいなくては彼にとっては意味がないのだからすぐに無茶苦茶なことを言われることはないだろうが……。

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