エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
「千春? 返事は?」

 清司郎からの問いかけに、千春は少しぶっきらぼうに答える。

「……わかってる」

「よし」

 清司郎が満足そうにニヤリとして、窓の外の緑を見つめた。

「実はここ最近、うちの庭に野良猫が入ってきて、小夜さんが困っているんだ。奴らは糞をするからな。きっとこの家には俺と親父しかいなくて留守がちだから、空き家だと思っているんだろう」

 真面目な顔をして全然関係なさそうな話をしだした清司郎に、千春は目をパチパチさせた。
 清司郎がさらに続ける。

「だから千春、お前午前と午後の一回ずつ、うちの庭を散歩しろ。この屋敷にも人が住んでいるんだと奴らにわからせるんだ」

 あくまでも真剣にそう言う清司郎に、千春は少し考えてから確認をする。

「……庭掃除をすればいいのね」

 ここに置いてやるから、できる仕事をやれということだろうか。
 でもそれを、清司郎が否定する。

「いや違う。庭掃除は定期的に業者を入れているからしなくていい。お前はただ庭を歩くだけでいいんだ。ゆっくりだぞ、ゆっくり。猫に、ここには人間が住んでいるとわからせる必要があるんだから」

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