エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 確かに主治医という立場でできることは限られている。たとえしばらく入院させたとしても所詮それは一時的なこと。根本的な解決にはならない。
 せいぜいが外野から、"無理をさせるな"と言うくらいしかできないのだから。
 清司郎は窓を開けて、外の空気を部屋の中へ取り込んだ。
 この暖かさであれば、千春が散歩しても大丈夫だろう。今日の昼食はちゃんと食べられただろうか。
 清司郎がそう思った時。
 白衣の胸ポケットに入れたPHSが鳴った。
 確認すると総合受付からだった。
 清司郎は眉間にシワを寄せて、ひと呼吸置いてから通話ボタンを押す。

「はい、八神です」

《お疲れさまです。八神先生、受付にユウキ製薬の結城絢音(あやね)様がお見えになっておりますが……》

 やはり、と清司郎は思う。
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