エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
総合受付からの着信は大抵がこれだ。
ため息をついて即座に回答する。
「お断りしてくれ。今日はアポイントはないはずだ」
《ですが……》
相手はためらう。
ユウキ製薬は八神病院とは切っても切れない関係だ。あまり無下にできないというのが、病院内全職員の共通の認識だった。
「大丈夫だ。後でフォローしておくから」
安心させるように清司郎がそう言うと、相手は納得して電話を切った。
清司郎はため息をついて携帯をポケットにしまった。
結城芳人のひとり娘である結城絢音は、名目上はユウキ製薬の社員ということになっていて、たびたびこうやって仕事のフリをして清司郎に会いにくる。
MRでもなければ個人的に親しいわけでもない彼女と話をすることなどなにもないというのに。
いつも最後は『この後お食事でもいかがですか?』と個人的な話に持ち込もうとする彼女との面会など本当はすべて断ってしまいたいくらいなのだが、そうもいかないところがうっとおしい。
今みたいに断ると、受付の職員が絢音に八つ当たりをされて不快な思いをする。
申し訳ないとは思う。時間が取れるなら受付に下りていって、清司郎の口から断る方がいいとわかっている。
だが今は、会いたくなかった。
それはアポイントもなしに来た彼女の話の内容に、清司郎自身心あたりがあるからだった。
ため息をついて即座に回答する。
「お断りしてくれ。今日はアポイントはないはずだ」
《ですが……》
相手はためらう。
ユウキ製薬は八神病院とは切っても切れない関係だ。あまり無下にできないというのが、病院内全職員の共通の認識だった。
「大丈夫だ。後でフォローしておくから」
安心させるように清司郎がそう言うと、相手は納得して電話を切った。
清司郎はため息をついて携帯をポケットにしまった。
結城芳人のひとり娘である結城絢音は、名目上はユウキ製薬の社員ということになっていて、たびたびこうやって仕事のフリをして清司郎に会いにくる。
MRでもなければ個人的に親しいわけでもない彼女と話をすることなどなにもないというのに。
いつも最後は『この後お食事でもいかがですか?』と個人的な話に持ち込もうとする彼女との面会など本当はすべて断ってしまいたいくらいなのだが、そうもいかないところがうっとおしい。
今みたいに断ると、受付の職員が絢音に八つ当たりをされて不快な思いをする。
申し訳ないとは思う。時間が取れるなら受付に下りていって、清司郎の口から断る方がいいとわかっている。
だが今は、会いたくなかった。
それはアポイントもなしに来た彼女の話の内容に、清司郎自身心あたりがあるからだった。