エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
そう言って清司郎が一枚の紙を差し出すと、芳人が訝しむように目を細めて受け取る。そして一瞥して目を見開いた。
『八神先生、これは……?』
『今まで妻にかかった医療費です。こちらで計算させていただきましたが足りないようであれば追加でお支払いすることも可能です』
清司郎の言葉に芳人の表情が凍りつく。
そのまましばらく絶句して清司郎と手の中の小切手を見比べていたが、やがてヒクヒクと唇が歪ませて、憎々しげに清司郎を睨んだ
医療費を盾に千春を追い詰めていたことをすでに清司郎が知っているならば、懐柔するのは不可能だと悟ったようだ。
『もちろんこの程度で恩返しできるとは思いません。ですが妻が大変気にしておりましたので。ひとまずお受け取り下さい。それでは、失礼させていただきます』
そう言って清司郎は一礼する。
芳人が小切手をぐしゃりと握り潰して、唸るような声を出した。
『あなたには、かねてから絢音をとお伝えしてあったはず。それなのに……なかなか返事をいただけないどころか、千春をなどと……! 絢音の、いったいあの子のなにが気に入らんのです? そして、なぜ千春なんだ‼︎』
静かな部屋に芳人の怒号が響く。
その問いかけには答えずに清司郎は踵を返し、結城家の屋敷を後にした。
『八神先生、これは……?』
『今まで妻にかかった医療費です。こちらで計算させていただきましたが足りないようであれば追加でお支払いすることも可能です』
清司郎の言葉に芳人の表情が凍りつく。
そのまましばらく絶句して清司郎と手の中の小切手を見比べていたが、やがてヒクヒクと唇が歪ませて、憎々しげに清司郎を睨んだ
医療費を盾に千春を追い詰めていたことをすでに清司郎が知っているならば、懐柔するのは不可能だと悟ったようだ。
『もちろんこの程度で恩返しできるとは思いません。ですが妻が大変気にしておりましたので。ひとまずお受け取り下さい。それでは、失礼させていただきます』
そう言って清司郎は一礼する。
芳人が小切手をぐしゃりと握り潰して、唸るような声を出した。
『あなたには、かねてから絢音をとお伝えしてあったはず。それなのに……なかなか返事をいただけないどころか、千春をなどと……! 絢音の、いったいあの子のなにが気に入らんのです? そして、なぜ千春なんだ‼︎』
静かな部屋に芳人の怒号が響く。
その問いかけには答えずに清司郎は踵を返し、結城家の屋敷を後にした。