エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
散歩
少し強い春の風が庭の木々を揺らすのを千春は目を細めて見上げていた。
木漏れ日がキラキラと直接自分に降り注ぐのも、土の香りも、なにもかもが新鮮に感じる。考えてみれば、こうやってゆっくりと外に出ること自体、随分と久しぶりだった。
手術前は入院ばかりだったし、たまに帰宅を許されても結城の家では部屋にこもりきりだった。
千春は目を閉じて、葉と葉が擦れ合う音や鳥の声、それから風の音に耳を澄ます。手術は成功し自分は生きているのだということを今さらながら実感した。
「いいお庭でしょう?」
少し離れた場所で、水仙の花の花殻を摘みながら小夜が微笑んだ。
「亡くなった大先生の奥様のお庭だったんですよ。ガーデニングがお好きな方で……。今は奥様が懇意にされていた植木屋さんに来ていただいていて」
小夜の言葉に千春は黙って頷いた。
古い洋館を囲む雑木林の草花は、無造作に生えているようにも思えるが、丁寧に手入れがされている。
片隅には、小さな池があってその周りに植えられたたくさんの花が見頃を迎えていた。
「気持ちいい……」
千春の口から素直な言葉が漏れた、その時。
「ちゃんとやってるな」
木漏れ日がキラキラと直接自分に降り注ぐのも、土の香りも、なにもかもが新鮮に感じる。考えてみれば、こうやってゆっくりと外に出ること自体、随分と久しぶりだった。
手術前は入院ばかりだったし、たまに帰宅を許されても結城の家では部屋にこもりきりだった。
千春は目を閉じて、葉と葉が擦れ合う音や鳥の声、それから風の音に耳を澄ます。手術は成功し自分は生きているのだということを今さらながら実感した。
「いいお庭でしょう?」
少し離れた場所で、水仙の花の花殻を摘みながら小夜が微笑んだ。
「亡くなった大先生の奥様のお庭だったんですよ。ガーデニングがお好きな方で……。今は奥様が懇意にされていた植木屋さんに来ていただいていて」
小夜の言葉に千春は黙って頷いた。
古い洋館を囲む雑木林の草花は、無造作に生えているようにも思えるが、丁寧に手入れがされている。
片隅には、小さな池があってその周りに植えられたたくさんの花が見頃を迎えていた。
「気持ちいい……」
千春の口から素直な言葉が漏れた、その時。
「ちゃんとやってるな」