エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
図書館
「あ、飛行機雲!」
青空に一直線に伸びる真っ白な筋を指差して千春は声をあげる。
隣で清司郎が空を見上げた。
「くっきりだな」
そして歩道の脇に避けて足を止めた。
日曜日の今日、いつもより遅い朝食を済ませた後、ふたりはそろって家を出た。
仕事が休みだという清司郎に誘われて近くの市立図書館へ行くためである。
『本をネットで買うのもいいけど、そろそろ外出してもいい時期だし、ちょうどいいから連れて行ってやるよ』
近くの市立図書館は、大きくて蔵書も豊富だから古い本もあるはずだという。
その誘いに千春は二つ返事で頷いた。
久しぶりの外出も、たくさん本がある図書館も、そのどちらにも胸が躍った。
図書館は歩いて十五分ほどの小高い丘の上にある。必然的に、その道のりは緩やかな上り道だった。
ゆっくりと千春の歩幅に合わせて隣を歩く清司郎は、さっきから何度も何度も立ち止まっては、千春に休憩を促した。
「休憩だ、千春」
白い柵に手をついて清司郎が言う。
千春はため息をついた。
「また? ついさっき休憩したばかりじゃない。私なら大丈夫。早く行こう」
図書館はもうすぐそこだった。あそこにたくさんの本があるのだと思うと、気が早ってとても立ち止まってなんていられない。
でも清司郎は首を縦に振らなかった。
青空に一直線に伸びる真っ白な筋を指差して千春は声をあげる。
隣で清司郎が空を見上げた。
「くっきりだな」
そして歩道の脇に避けて足を止めた。
日曜日の今日、いつもより遅い朝食を済ませた後、ふたりはそろって家を出た。
仕事が休みだという清司郎に誘われて近くの市立図書館へ行くためである。
『本をネットで買うのもいいけど、そろそろ外出してもいい時期だし、ちょうどいいから連れて行ってやるよ』
近くの市立図書館は、大きくて蔵書も豊富だから古い本もあるはずだという。
その誘いに千春は二つ返事で頷いた。
久しぶりの外出も、たくさん本がある図書館も、そのどちらにも胸が躍った。
図書館は歩いて十五分ほどの小高い丘の上にある。必然的に、その道のりは緩やかな上り道だった。
ゆっくりと千春の歩幅に合わせて隣を歩く清司郎は、さっきから何度も何度も立ち止まっては、千春に休憩を促した。
「休憩だ、千春」
白い柵に手をついて清司郎が言う。
千春はため息をついた。
「また? ついさっき休憩したばかりじゃない。私なら大丈夫。早く行こう」
図書館はもうすぐそこだった。あそこにたくさんの本があるのだと思うと、気が早ってとても立ち止まってなんていられない。
でも清司郎は首を縦に振らなかった。