エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
はじめてのキス
春の雨が濡らす夜の庭を、千春は窓から見つめている。
離れのこの部屋からは清司郎の部屋がよく見える。午後九時を回った今、窓には明かりが灯っていた。
今日彼は、珍しく早く帰宅した。
小夜が休みを取っていて、康二も学会で地方へ行っている。千春の体調が整って在宅医療もやめたため、そのままだと千春がまるっきりひとりになってしまうからである。
子供じゃないんだから、と千春は思う。
でもそれならちょうどいいから今夜彼に話そうと思っていたことが千春にはあった。
それなのに夕食を食べ終えた後、なぜか彼はすぐに自室に引き上げてしまった。
『小夜さんもいないし。……夜だしな』
などと、よくわからないことを呟いて。
春の夜はまだ少し冷える。
千春はカーテンを閉めて、ピンク色のカーディガンを羽織ると、机の引き出しに入れてあったオレンジ色の紙を手に部屋を出た。
離れのこの部屋からは清司郎の部屋がよく見える。午後九時を回った今、窓には明かりが灯っていた。
今日彼は、珍しく早く帰宅した。
小夜が休みを取っていて、康二も学会で地方へ行っている。千春の体調が整って在宅医療もやめたため、そのままだと千春がまるっきりひとりになってしまうからである。
子供じゃないんだから、と千春は思う。
でもそれならちょうどいいから今夜彼に話そうと思っていたことが千春にはあった。
それなのに夕食を食べ終えた後、なぜか彼はすぐに自室に引き上げてしまった。
『小夜さんもいないし。……夜だしな』
などと、よくわからないことを呟いて。
春の夜はまだ少し冷える。
千春はカーテンを閉めて、ピンク色のカーディガンを羽織ると、机の引き出しに入れてあったオレンジ色の紙を手に部屋を出た。