エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~

胸のぐるぐる

 なんだか見られているような気がする。
 小児病棟で読み聞かせの会を見学し、そのままキッズルームで倉橋と話をしていた千春は、そんな気がして辺りを見回した。
 振り返ると、ナースステーションから何人かの看護師やスタッフたちがチラチラとこちらを見ては意味ありげに話をしている。
 倉橋もそれに気が付いてくすくすと笑い出した。

「皆、千春さんに興味津々ね。これじゃ、下の名前で呼ぶことにした意味がないかしら」

 サークルに参加したいと連絡した千春を倉橋は喜んで迎え入れてくれた。
 そして見学の日程などを打ち合わせて今日を迎えることになったわけだが、その過程で、倉橋は千春のことを"八神さん"ではなく"千春さん"と呼ぶと言った。
 曰く。

『病院で"八神さん"は目立ちすぎるんじゃないかしら』

 この街で八神さんといえば八神病院の医院長の家の者だと名乗っているも同然なのだ。

「ふふふ。皆、あの八神先生の奥さまはどんな方か知りたくてたまらないのよ」
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