エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
「大袈裟なんかじゃないわよ!」

 彼女の口は止まらない。

「八神先生はあの若さで国内屈指の優秀な心臓外科医なのよ。患者さんからもとっても信頼されているし、院内での人望も厚い。しかもあのルックスでしょう? お近づきなりたいって職員はたくさんいたんだから。数カ月前に帰国されて、さあこれからって皆気合が入っていたのに、いつのまにか結婚されていたんだもの。ショックだったのよー。ナースの間でも八神先生ロスが続出したんだから!」

 倉橋がふたりのやり取りを見てくすくす笑い、看護師の言葉を肯定した。

「私たちみたいなおばあちゃんでも、お会いできてご挨拶できた日はラッキーなんて思うのよ。サークル仲間に自慢したりして。ふふふ」

 千春は唖然として、ナースステーションをチラリと見る。そこにはふたりの言葉を裏付けるように女性たちがまだこちらを見ていた。
 知らなかった。
 清司郎がそんなに女性に人気があるなんて。
 彼との付き合いは長いけれど、そういえば千春は彼とはいつも一対一の付き合いをしていたら、彼が周りにどう見られているいるかなど、まったくわからないのだ。
 でも、と千春は考えを巡らせる。
 そうやって改めて考えてみれば、自然なことなのかもしれない。
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