エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
「む、無理にとは言わない。疲れているだろうし……」

 遠慮しながら千春が言うと清司郎が肩をすくめた。

「いいよ、もちろん。俺でよければ」

「本当? よかった……」

 千春はホッと息を吐く。
 清司郎がフッと笑った。

「お客さんとしては素人だけど。……絵本を読んでもらうなんて、いつぶりかな」

 そう言って首を傾げる清司郎に、千春は思わず笑みを浮かべる。
 幼い頃のこととはいえ、絵本を読んでもらっている彼なんて想像もつかなかった。

「あ、笑ったな? 俺だって、昔は可愛い子供だったのに」

「ふふふ、そうだけど」

 笑いながら、千春は胸を撫で下ろしていた。
 気心が知れているとはいえ、本当は読み聞かせの練習を彼に頼むのは不安だった。
 あのキス以来、少なくとも千春の方は、彼に対してまったく以前と同じ心境ではないのだから。
 でもこの調子なら大丈夫そうだ。
 肩の力を少し抜いて、千春はさっそく絵本を広げた。
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