エリート心臓外科医の囲われ花嫁～今宵も独占愛で乱される～

　優しい問いかけに、千春は答えることができない。
　いったい自分はどうしてしまったのか、自分でもわからないからだ。
　ただ、もう一度チャンスがほしかった。
　千春のはじめてのキスはとても彼を満足させるものではなかった。あまりにも拙くて千春とのキスに価値はないと、思われたのかもしれない。
　でも千春だって何度か回を重ねれば、上手にできるようなれるはず。
　そうしたらいつか、もしかしたら、彼にも千春と同じ気持ちになってもらえるかもしれない。
　彼の腕に回した手に、千春はギュッと力を込めた。
　幼なじみとして、彼は千春を大切にしてくれている。それで満足するべきだ。
　それはわかっているけれど、自覚したばかりの千春の中の恋心が、それじゃ嫌だと言っている。
　彼が好き。
　大好き。
　彼にもらった人生を、彼とともに生きていきたい。

「千春……、少し、疲れたんだな」

　優しく労わるように言う清司郎に、千春は再び懇願した。

「違うわ、そうじゃなくて……。お願い……清君……！」

「千春……」