エリート心臓外科医の囲われ花嫁～今宵も独占愛で乱される～

プロポーズ

『千春、あなたの名前は、たくさんの春を迎えられますようにっていう願いを込めて、お父さんとお母さんが一緒に考えてつけたのよ』

　ずっと以前、幼い頃に聞いた母の言葉を、千春は夢に見ていた。

『元気で、幸せになってね』

「お母さん……」

　呟いて、千春の意識は浮上する。ゆっくりと瞼を開くと、見慣れないクリーム色の天井が目に映った。

「気が付いたか」

　声のする方を見ると、清司郎が心配そうに覗き込んでいる。

「私……？」

　千春は視線をさまよわせた。
　知らない部屋の大きなベッドに寝かされている。傍には点滴があって、千春の腕に刺した針と細いチューブで繋がっていた。

「栄養剤だ。貧血を起こしたからな」

　清司郎が説明をする。
　千春は小さく首を傾げた。

「ここは……？　私……なんで？」

「覚えていないのか。ホテルで倒れただろう。振袖を着て見合いなんかしようとして」

　清司郎が、責めるように言う。
　千春はそうだったと思い出して、唇を噛んだ。