双子の貞子ちゃん
コピーしたUSBを手に、社長室から出て、部屋へ戻る。
まだ、昼休憩は30分あるため、社員たちは戻っていない。
ここは地下のため、正面突破しかない。
動きづらいワンピースを煩わしく思いつつも、監視カメラの写らない位置を慎重に移動する。
そして、ようやく外に出る。
何日ぶりの太陽だろうか。
…なんて、感傷に浸っている場合ではない。
いつ花田たちが、帰ってくるかわからない。
それに、道ですれ違う可能性もある。
携帯も財布もない私は、USBただそれだけを手に握りしめ、足早にここから去る。