双子の貞子ちゃん



紅蓮と仲良く話す華織を見て、羨ましいなんて思うことがまず間違い


華織は紅蓮の人間
私はただ律に連れて行かれただけで、入れてもらったわけじゃない



私は紅蓮が華織をちゃんと守ってくれるならそれだけでいいはず




………なのに、


胸を締め付けるのは、あの視線と手の感触
そして……



ギュッ


何度擦っても消えてくれない彼の唇の感触




握った拳を胸に押し付ける


「忘れろ…あれは事故」





そう言い聞かせていた時

机の上で通知音がした




『あいつがこの辺にいるかもしれない。気をつけろよ』




ドクン…と静かになる


今までの落ち着きがないのが嘘かのように、自分が冷静になっていくのを感じた


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