薄桜鬼*土千*
土方さんのお部屋から出て、廊下に立ち尽くす。
先ほど触れた唇に手をあてると、まだ熱がある気がした。
土方さん……
嫌じゃなかった。あらわになった私の肩に土方さんが触れた時、全然嫌じゃなかった…
男の人に肌を触られたのは初めてだった。
「……千鶴ちゃん?どうしたの、こんなところでぼーっとして」
通りがかった沖田さんが不思議そうに聞いてくる。
「……あ、いえ、、その…」
「土方さんならさっき出かけたみたいだよ」
「…そうですか」
「置いてけぼりくらっちゃったみたいだね、千鶴ちゃん」
沖田さんの大きな手が私の頬に触れた。
驚きの余り後ろに飛び退くと、彼は面白そうに喉を鳴らした。
「土方さんの代わりに僕が相手してあげるよ」
「…あ、相手ってなんですか」
ジリジリと距離を詰めてくる沖田さんは、完全におもちゃを見つけたみたいな楽しげな表情をしている。
背中に襖があたり、沖田さんさんの顔がもうくっつきそうな距離まできていた。
「…っ沖田さん!!」
「……なーんてね。さすがに土方さんを敵に回す勇気は僕にはないよ」
「………」
「さてと、僕は部屋に戻ろうかな」
ツンと私の額を人差し指でつつき、沖田さんはさっさと立ち去っていく。
はあ………びっくりした……