オトコノキモチ


「人生、辛い事もたくさんあるって」

『・・・・・・』


励ましたつもり。


直人はどういう風にとらえたのかわからないけれど。


「今は辛いけど、こうやってあたしに愚痴こぼしたっていいんだから・・・」
『・・・でさ、俺、今、自分のことで精一杯なんだよ・・・』


あたしの言葉を遮って直人が話し出した。



「そうだよね。あたしは会えなくても我慢できるよ?」


会いたいなんてわがままは言えなかった。

直人の彼女でいられるなら、今より会う頻度が減っても仕方ないと思った。



昨日、久しぶりに会って、やっぱり直人が好きだと気づかされたあたし。


何か出来る事はないかなと考えた。


「あたし、何か直人にできることないかな?」


『・・・・・・やっぱり、紗奈は優しいね』



その言葉には、寂しそうな表情をする直人の顔が浮かんだ。



『・・・それでさ・・・』


あたしは、直人に何をしてあげられるのだろう。


弱りきった直人を助けたい。


心からそう思った。



なのに・・・




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