再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
いつの間にか、私も皆川先生も起き上がっていた。

「３年もお互いに誤解をしていたんですね」
「そうだな」

「私のこと、恨んでいないんですか？」
私のせいで皆川先生の医師としての人生は変わってしまったはず。

「あの頃実家から戻って来いって言われていて迷っていたころだったんだ。後味の悪い去り方になったのは事実だけれど、こっちに戻ってきたことに後悔はない。戻ってきたからこそ再会できたんだからな」
「皆川先生」

ああ、思い出した。
普段はすごく丁寧な口調なのに、２人の時には砕けた口調になるそんなときの先生が私は好きだった。だからこそ、自分は特別なのかもしれないと錯覚したんだ。

「ごめんな、一番つらい時に側にいれなかった」
「そんな・・・」

泣きたくなんかないのに、目頭が熱くなる。
普段涙もろい方ではないのに、じわじわと涙が溜まって、溢れこぼれそうになった時、

チュッ。
瞼に柔らかい何かが当たり、目の前に皆川先生の顔があった。

え？ええ？
一瞬何が起きたのかわからず、目を白黒させる。

チュッ。
今度は唇が重なった。

「もっと早く会いに行けばよかったな」
「先生」

いくらもがいても３年の時間は戻らない。その間にお互い色々なことがあったはずだから。
このキスだって、泣き出した私を慰めるためのもの。先生なりの慰めの証。
わかっているのに、ドキドキした。

子供じゃないんだからキス１つで動揺するんじゃないと思ってはいても、心が揺れてしまった私は朝まで眠れなかった。
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