再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
童顔でまだ高校生でもいけそうな見た目に、呑み込みの早さ。
少しの間一緒にいるだけで、頭のいい子だとわかった。
研修医はみんな医学部を卒業しているわけで基本頭の悪い奴はいないわけだけれど、勉強ができるって意味ではなく回転が速くて応用の利く子だって印象を受けた。
ただ、頭がいい分頑固なところもあり、自分が納得しなければ絶対に動かない。違うと思えば年長者にでも意見する。そんな若さを危険だなと感じてはいた。

「先生すみません」
研修医時代、週に一度は俺に泣きついてきたっけ。
部長や上級医の先生とぶつかって叱られた彼女の代わりに、俺は何度も謝りに行った。
しかし、これも彼女の個性。はっきりと自分の意見が言えることはいいことだと思っていたから、態度を改めろと言うことはなかった。
ひたむきに医学に向き合う彼女は、技術の吸収もカメラの上達も早いし、ミスも少なくて、患者対応もそつがない。
ただ、人の話を最後まで聞かずに早合点したり、患者の観察を怠るところは何度か注意した。
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