再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
研修医と指導医が一緒にいる時間は長くて、意識しなくても彼女は俺にとって一番身近な存在になっていく。
まじめに一生懸命頑張る彼女をかわいいと思いながら、上司と部下なんだと何度も自分に言い聞かせていた。

年を越すころには彼女も一通りのことができるようになり、少しずつ医者らしくなっていった。
それと同時に、彼女も俺のことを意識しているんだと気づくことが増えた。

そんな状態で迎えた2月14日。
彼女はチョコを差し出して
「好きです。付き合ってください」
まっすぐに俺を見て告白した。
しかし、当時指導医だった俺はすぐに彼女の気持ちに応えることはできない。
「君の気持ちには、今は答えられない。君の研修が終わってからもう一度話そう」
そう答えることしかできなかった。
俺の答えにショックを受けたらしい彼女は、真っ青な顔をして駆け出して行った。

それからは、彼女が俺のことを避けてしまって最低限の報告しかしてこなくなった。
そして、医療事故は起きた。
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