再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
事故の詳細を聞かれた時、俺は何の言い訳もしなかった。
実際彼女から何の報告も受けていなかったがそれは俺の管理不行き届きだと思ったし、彼女が精神的に追い詰められて起こした事故であるのならば、その責任は俺にあると思った。
どちらにしても、責められるべきは俺だ。

「別に辞める必要はないんだよ?」

当時の部長に止めてもらったが、俺の気持ちは固まっていた。
事故を未然に防ぐことができなかった自分へのけじめでもあった。

「今回のことは私が辞職することで納めていただけないでしょうか?彼女には研修医を続けさせてもらいたいんです」
お願いしますと頭を下げた。

ちょうど実家からも帰ってくるようにと言われていたし、俺には何の悔いもない。ただ、彼女だけは守りたかった。

「本当にそれでいいんだね?」
「はい」

俺が病院を去ることはぎりぎりまで内密にしてくださいとお願いし、彼女の2年目の指導医は知り合いの先生に直接頼んだ。
これですべてが終わったと思っていたのに・・・

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