再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
ブブブ。
携帯の着信。

あぁ、副院長からだ。

「おはようございます」
「ああ、おはよう。環ちゃんがお世話になったそうだね」
どうやら夫人から連絡があったらしい。

「昨日は内視鏡の飲み会で、酔ってしまったので家に泊めました。今はまだ眠っていますが、目が覚めたら送りますので」
「そうか、すまないね」
「いえ」

電話の向こうから聞こえる副院長の声は穏やかだが、なぜか言い知れぬ怒気を感じるのは気のせいだろうか?
先日院内で彼女と俺のうわさが広がった時に呼び出されて事情説明を求められたばかりだから、『またか』と思われているのかもしれないな。

「そういえば、月曜はうちで勤務の日だろ?」
「ええ、そうです」
「その日は僕も院内にいるから、時間が空いた時にでも部屋に顔を出してくれないか?」
「はあ、わかりました」

あーぁ、やっぱり呼び出されたか。
仕方ない、叱られてくるか。
< 111 / 200 >

この作品をシェア

pagetop