再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「泊りで出かけるの?」
「ぇ、ええ。でも、他にも救急の女性スタッフも泊まるらしいですし、塙くんも一緒ですから」
安心してくださいってつもりで言ったのに、
「余計に危ないだろ」
思いっきり顔をしかめられた。

せっかく誘ってもらったのに申し訳ないと思うけれど敬との約束が先だったし、最近様子がおかしい塙くんのこともずっと気になっていた。

「すみませんが日曜日は帰りが何時になるかわからないので」
私のことは気にせず出かけてください。と言おうとしたのに、
「もういいよ」
プイっと、新太先生は背中を向けて離れて行った。

あーぁ、怒らせちゃった。

「ずいぶん仲がいいね」
たまたま検査室から出てきた上田先生がニコニコしている。

「先生どこ見ているんですか、新太先生は怒って行っちゃったんですよ」
「かわいいじゃない」

かわいい?どこが?

「いつの間に『新太先生』『環先生』なんて呼ぶようになったの?」
「それは・・・」

面と向かって聞かれると困ってしまう。
先日泊めてもらって以来お互い名前で呼ぼうってことになったけれど、仕事以外で話す機会もあまり無いから名前を先生呼びっていうのが定着しつつある。

「付き合っているの?」
「いいえ」
とんでもない。

ただ過去のわだかまりが解けて和解しただけ。
それに、いくら好きでも新太先生には西村先生がいるんだから。

「えっ、違うんですか?」
ちょうど近くにいた女性スタッフが驚いた表情で賭け寄ってきた。
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