再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
約束した土曜日。
私は自分の車で指定された別荘にやってきた。

「おじゃましまーす」
「お、来たな」
「和田先生いらっしゃい」
すでに準備を始めていた敬と救急の仲間が迎えてくれる。

「何から手伝おうか?」
「環は来たばかりだろ、ゆっくりしろ」
「うん、でも・・・」

早速エプロンを取り出した私は、キッチンへと向かって行った。
見た感じ男性陣が火をおこしたりテーブルや椅子を出したりの外仕事をしているみたいだから、きっと女性陣は食材の準備だろうと予想した。


「こんにちわ」
「あぁー、和田先生こんにちわ」

やはり、キッチンには4人ほどの女性がいた。
みんな若手の救急スタッフで、顔見知りばかり。
よかった、今日は気兼ねなくいられそう。

その時、

「じゃがいもは皮つきのままでいいんですよね?」
大きなボールいっぱいのジャガイモを抱えた塙くんが裏口から入ってきた。

「そうそう、ホイルに包んで炭火で焼くから皮付きのままでいいわ」
「はい」

まるで私には気が付かないように、ジャガイモを洗いだす塙くん。
やっぱり、どことなくおかしい。

「じゃあ、和田先生は野菜を切ってもらえますか?」
その場を仕切っている一人に声をかけられ
「はい」
塙くんのことは気になるけれど今は準備に集中しようと、私は包丁を握った。
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