再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
目を閉じていたからと言って吐き気が治まるわけでも、喉や胃の痛みが消えるわけではない。
ジッとしていることもできないほどの苦しさを味わいながら、私とその場にいた数人が病院へと運ばれた。



「とりあえずルートとって、採血」
「「はい」」

救急車を待つことももどかしくて、乗ってきていた車で近くの病院へ運ばれた私たち。
たまたまうちの病院とも提携しているところで、敬も顔見知りのドクターがいて、すぐに診察が始まった。

「環どうだ?大丈夫か?」
「うん」

喉も胃も痛いし、吐き気もするけれど、ちょっと落ち着いてきた。
このまま点滴を全開で落としてもらえば、回復すると思う。

「で、何があったんですか?」
白衣の男性が敬に聞いている。
「それが、はっきりとはわからないんです。仲間内でバーベキューをしていて、急に何人かが苦しみだして」
「患者の共通点などはないんですか?」
「うぅーん、彼女はワインを口にしてすぐに苦しみだしたんですが」
チラッと私の方を見る敬。
「ワインですかあ」

ベットに横になったまま話を聞いていた私も、同じことを思っていた。
きっと原因は今日口にしたものにあるんだろうと思う。
状況から見て、ワインに何かが混ざっていたと思うんだけれど・・・

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