再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「塙くんは・・・」

現場で気を失う瞬間に見た塙くんの驚愕した顔が忘れられない。
今回の件に塙くんが関係しているとは思いたくないけれど、どうしても不安で聞かずにはいられなかった。

「今のところ消息がつかめていない」
「そう」

ってことは、今回の件に何かかかわりがあると思われても仕方ない。
マズイな。塙くんにとってすごく不利な状況だ。

「何か、気になることがあるのか?」
「ええ、まあ」

気になることは多々ある。
最近ずっと塙くんはおかしかった。
でも、それが今回の件と直結しているかと言われるとよくわからない。

「そう言えば彼、最近休みがちだったな」
「ええ」
「仕事はいつもと変わらないように見えたんだけどね」
「そう、ですか」

やっぱり、態度がおかしかったのは私にだけなんだ。
と言うことは、塙くんがおかしくなったことに私がかかわっているってこと?
でも、私は何もしたつもりはないし・・・

ブブブ。
メールの着信。

ベット脇のテーブルに置いていた携帯を見て、固まった。

「どうした?」
「いえ、何でもないです」

私はそっと携帯を隠してしまった。
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