再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「誰から?」

「えっと、部長からでした」

本当は違うけれど、少し前に部長からもメールが来ていたこともあって何とかごまかした。

「そう。塙くんの所在はみんなで探しているところだから、すぐに見つかると思う。環も、連絡があったら隠さずに言うんだよ」
「ぇ、ええ」

実は、さっき来たメールは塙くんからだった。
まだ中を開いてはいないけれど、私の体調を心配する文面で始まっていた。

「今回の件に塙くんがかかわっていると決まったわけではない。まだ何もわかっていないからね。ただ、塙くんにとって不利な状況なのは間違いない。とにかく今は、出てきて話をする必要があるんだよ」
「ええ、わかっています」

もしかして、すでに新太さんも気づいているのかもしれない。
それでも、私は塙くんから来たメールのことを言い出せなかった。
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