再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

不器用な彼女 side新太

「ジンジャーエールが飲みたい」
「はあ?」

あんなに嫌がっていた処置を終え経過観察の一時間も無事に過ごして元気になった環は、水を一口飲むのにビクビクしていたくせに、大丈夫だとわかるとジンジャエールが飲みたいなんてリクエストをしてきた。

「喉がイガイガするの。だからジンジャエールが飲みたい」
「せめてスポーツドリンクとかにしないか?」

正直まだあまり刺激の強いものは勧められない。

「えぇー」
頬を膨らませて、環が拗ねて見せる。

少し前まで敬語交じりだった環がわがままを言うのがかわいくて、
「仕方ないなあ」
俺は財布を持って腰を上げた。

「ジンジャーエールを買ってくるから待ってろ。売店になかったら近くのコンビニまで行くから少しかかるぞ」
「大丈夫、待ってます」

ずいぶん可愛らしい態度に少し嫌な予感がしたが、俺は環の希望通り買い物に向かった。
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