再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「もう、いつまでそんなところにいるの。ほら、ご飯ですよ」
困っている私に奥様に助け船。

「そうだな。いいから、上がりなさい。まずはご飯にしよう」
副院長の表情もやっと緩む。

この家に居候を始めて２ヶ月が経つ。
私のことを本当の娘のように気遣ってくださる副院長には感謝の気持ちでいっぱいだけれど、やはり少し過保護で過干渉だと思う。
もちろん私にとってはありがたいことだけれど、部長からの風当たりを思うと複雑な気分だ。

「それから、家で副院長と呼ぶのはやめてくれ」
「ああ、はい」

そうだった。
いつも言われているのについ言ってしまった。

「さあ、今日はたけのこご飯ですよ」
「うわ、美味しそう」

奥様から差し出された炊き立てのご飯。
具材はシンプルにたけのこと油揚げだけだけれど、鰹節だしのいい匂いがする。

「たけのこの天ぷらとホイル焼きもありますからね」
「はい、いただきます」

ここに来て旬の食材を旬の時期に食べる幸せを知った。
一年に一度の旬をみんな楽しみにしているし、取れたてだからこそ美味しさも格別。スーパーで売っているものとは一味違う。
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