再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
環の頑固でまじめな性格は強い女性と思われがちだが、実際は強がっているだけ。人の見ていないところではすぐに泣くし、トラブルがあれば自分が引いて逃げ出そうとする。そんな環を、出会った頃から健気でかわいいと思ってきた。
本当なら全部俺が引き受けてやるからと抱き寄せてしまいたい所だったけれど、彼女のアイデンティティーを奪うようで距離を保ちながら見ていることしかできなかった。
いきなり告白されとっさに「研修医が終わるまではこのままでいよう」と言った俺の言葉に、真っ青な顔をしてかけて行ってしまった彼女。俺の提案は受け入れられなかったんだと理解して、あれから3年。
運命的に再会して、やっと誤解も解け側にいられるようになった。今更手放す気は全くない。

「いませんね」

入院しているフロアと外来や売店など環が行きそうなところを一通り探しても見つからないことに、杉原先生も困った顔をしている。

「そうだね。僕は外に行って見るよ。確か敷地内に公園があったはずだから」
「わかりました」

院内をもう一度探すと言った杉原先生と離れて、俺は病院の外に向かった。
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