再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「環」
新太さんの声がしてギュッと抱き寄せられた。

まるで視界を遮るように胸にうずめられ、私はそのまま泣き続けた。

「大丈夫だ。もう大丈夫だからな」

優しくささやかれる声が心地よくて体の力が抜けていく。
一瞬、手の痛みも忘れそうになった。

「ごめんなさい」
いっぱい心配かけたんだろうなと出た言葉。

「うん」
少し呆れたように頷く新太さん。

やはり、「もういいよ」とは言ってもらえない。
そりゃあこれだけの騒動を起こしたんだものね。


どのくらい時間がたったのだろうか、気が付いた時には警官も塙くんもいなくなっていた。

「大丈夫か?」
心配そうに、新太さんが私の顔を覗き込む。

「うん」
頑張って笑顔を作って返事をしたのに、
「バカ、無理するな」
コツンとおでこを突かれてしまった。
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