再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
その後、私は病院に連れ戻された。

「ナイフの刃を手で握るバカがどこにいるんだよ」
呆れたような敬の顔。

「ごめん」

「それも右手だぞ。利き手を怪我したら仕事にならないだろうが」
「うん・・・ごめん」

今の私に反論する元気はなくて謝る言葉しか出てこない。

今回の事件はやはり塙くんの犯行だった。そして、動機には私がかかわっていると思う。
もちろん、私に責任があるとは思わない。私は普通に接していたつもりだったし、必要以上に気を持たせる態度をとった覚えもない。でも、彼の中では違っていた。そのことがきっかけで今回の事件が起きたのなら責任は私にもある。

「ほら終わった。元気出せ」
ポンと敬が私の肩を叩き、診察用の丸椅子から立ち上がる。

「ありがとう」

敬なりに私を元気づけてくれているのがわかって、素直に感謝の言葉が出た。

「じゃあ、あとはお願いします」
「ああ、ありがとう」

敬が新太さんに言葉をかけ、当然のようにお礼を言う新太さんを、私は不思議な光景だなと思いながら見ていた。
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