再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
1週間後、私は病院を退院した。

入院中は毎日新太と奥様が顔を出してくれてた。

「やっと退院ですね」
「ええ」

回診にやってきた主治医の先生に傷口を診てもらい無事抜糸も終わった。
傷の回復も順調で今のところ大きな後遺症は見られない。
とはいえ、傷が完全に回復したわけでもないし、ひきつったり痛みが残る部分もあるから今まで通りってわけにはいかない。これから少しずつ慣らしていって、どこまで元に戻るかを見守るしかない。

「とりあえず自宅療養の診断書を書きますから」
「ありがとうございます」
「次の予約は5日後ですからね、忘れずに来てください」
「はい」

退院にあたって、うちの病院に紹介状を書いてもらうことも考えた。
勤め先の病院なら家からも近いし知っている先生もいるからと副院長は勧めてくれたけれど、私自身ためらう気持ちがあってやめた。

事件も捜査の最中で、色々と憶測が飛び交う中で病院へ顔を出す勇気がなかったのが素直な気持ち。
こう見えて私は臆病者なのだ。

「環、準備はいいか?」
「ええ」
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