再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
不思議なもので、一度身に着けた技術はちょっとのことでは消えてなくならないらしい。
初めの頃こそカメラの操作に苦労したけれど、少しずつ勘を取り戻し腕の動きにくさはテクニックでカバーできるようにもなり、しばらくするとカメラの操作に影響が出るようなことはなくなった。

「仕事の方は順調そうだね」

いつものように朝食を食べながらの副院長との会話。

「ええ、来月からは当直と救急にも入れそうです」
「そう。でも、無理するんじゃないよ」
「はい」

副院長や新太や敬のおかげもあって、私の職場復帰はスムーズにいっている。
これで当直や救急の応援がこなせれば完全に元に戻れる。

「そうだ、環ちゃんに1つお願いがあるんだ」
「お願いですか?」
「うん」

常日頃お世話になりっぱなしの副院長に言われれば、よほどのことでない限りは断れない。
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