再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「あれは一体何の真似だ?」

新太が私を見据えながら口を開いたのは、30分ほど後のこと。

ホテルを出て車に乗せられ、到着したのは新太のマンション。
駐車場からエレベーターで着いたのは最上階の部屋。
その間は終始無言で目を合わせることもなかった。

「新太こそ、大事な用事があったんでしょ?」
だからこそあのホテルにいはずだろうと、心配になった。

「急用で帰るって言ったから問題ない。それより、質問に答えて」

どうやらかなりご立腹の新太にごまかしは効きそうにもない。
こうなったら素直に話すしかないな。

「実は副院長に頼まれて」
「杉原君とお見合いでもしろって?」
「うっ、ぅん」

「何で黙っていた?」
「新太は出張中だったし、一緒に食事をするだけでいいって言われて・・・」
「黙っていればいいと思ったのか?」
「違うっ」

今更何を言っても言い訳にしかならないけれど、隠し通すつもりは無かった。ちゃんと話すつもりでいた。正直に話して叱られる覚悟をしていたんだから。
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