再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「環には俺がいるだろ?何でお見合いなんだよ」
「だから、ただの食事に」
「ただの食事に2人でホテルへ?」
「それは・・・」

確かにおかしな話だけれど、私は断ることができなかった。

「仮に食事に行っただけだったとして、何で手を握っているんだ?」
「えっ、あぁ」

やっぱり気づいていたのね。

「もしかして告白でもされた?」
「・・・」
イエスともノートも言えず黙ったのに、
「マジか」
新太にはばれてしまったらしい。

ギロリと意地悪く笑った後、新太は無言で私に近づいてきた。

トンッ。
新太の気迫に負けて後ずさりした私が、壁にぶつかって逃げ場をなくす。

ドン。ドン。
私の顔横に両手をつき囲ってしまう新太。
これは俗に言う壁ドンてやつ。

「覚悟、できてるんだろうな?」

え、ぇぇ、何の覚悟・・・?
そう聞きたくても聞けないでいるうちに、新太の顔が目の前に来た。

うぅぅん。
突然塞がれる唇。

ちょっと強引にこじ開けられた隙間から新太が入ってきて、生き物のように動き回る舌が私を翻弄する。

ううぅん、うぅん。

こんなキスは初めて。
気持ちよくて、訳が分からなくなってきた。
< 190 / 200 >

この作品をシェア

pagetop