再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

再会、そして急接近


月曜日。

これといって予定の無い週末があっという間に終わった。
副院長のお家でゴロゴロしたり奥様の手伝いをしたりでのんびりした休日を過ごし、さあ今日からまた仕事だぞと気合を入れて出勤した。

「和田先生、おはようございます」
病棟に顔を出すと、今日もまた塙くんに出会った。

「おはよう。今日も当直?」
「いえ、カルテの整理が残っていて」

フーン。
金曜日飲み会だからって帰って行ったものね。

「手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です」
「そう、じゃあ頑張って」

そう言えば金曜日は内視鏡が忙しくて、塙くんに作業をする時間なんてあげられなかったのを思い出し手伝いを申し出たけれど断られた。
まあ、自分でできるって言うんだから問題ないでしょう。

「先生、今日は外来ですか?」
「うん、一日外来。塙くんは病棟よね?」
「はい」

「今日は部長も出張でいないし、お休みの先生もあって大変だろうけれど頑張ってね」
「ええ、何かあれば電話します」
「いや、それは・・・」

塙くんが私に懐いてくれるのはうれしいけれど、外来に出れば病棟のフォローはできない。予約の患者さんで予定が埋まっているんだから。

「冗談です。自力で何とかしますから」

ホッ。
何だ、冗談か。

「くれぐれも暴走しないこと。何かあればすぐ周りの先生に相談するのよ」
「はいはい」

ったく。
なんて返事をするんだ。
よっぽど文句を言ってやろうと思ったけれど、やめた。
塙くんにはちゃんと指導医の先生が付いているんだから、私が口を出すことじゃない。
< 20 / 200 >

この作品をシェア

pagetop