再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「きれいな人ね」

私はここにきてまだ日が浅いし産科と消化器科なんてあまり接点がないからわからないけれど、うちの先生かな?

「産科の西村先生だ。彼女、皆川先生と付き合ってるらしいぞ」

えっ。
敬の言葉に驚いて、サンドイッチの中身がポロンとこぼれた。

「汚いなぁ」
「ごめん」

でも、敬が変なこと言うから。

「もともと皆川先生とは小中高の同級生らしい。大学は別々の医学部に進んだらしいけれど、先生がこっちに帰ってきて再会して付き合いだしたって噂だ」

ふーん。

「って事は、皆川先生はこっちが地元なの?」
「え、お前知らないの?」
敬の驚いた顔。

そんなこと知るわけない。
当時皆川先生は私の指導医で一日中一緒にいたし、少しでも先生に近づきたいとその背中を必死に追いかけていたけれど、個人的な事は何も知らない。
私が一方的に淡い恋心を抱いていただけ。
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