再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
そのままアパートに引きこもりでもすれば、まだよかったのかもしれない。
最悪の精神状態でまだ未熟な研修医が患者を診れば正しい判断なんて下せるはずがない。ちょっと考えればわかることなのに、私にはその判断ができなかった。
「何か起きたのか?」
私の様子から敬も何かを感じ取ったらしい。
「うん。一人で暴走して、患者の状態が悪化して、病院を訴えるって騒ぎになって」
「はあ?」
だよね。その反応になるよね。
「皆川先生は何も言わなかったのかよ」
「違うの。私が報告を怠っただけで、先生は知らなかったのよ」
「いや、でも、それならお前が・・・」
「うん」
わかってる。
研修医の私が一人で判断して、指導医の承認もなく医療行為を行ったとなれば、私の責任が問われることになる。
ましてやそれが医療過誤裁判の案件となったら、医師免許のはく奪だってあり得る。
「で?」
敬の目つきが鋭くなっている。
「皆川先生は自分の責任だって、すべての責任をかぶってくれた」
「マジか」
もちろん私は何度も本当のことを言った。
部長にも、教授にも、諮問会の席でも、何度も「皆川先生は悪くないんです」と訴えたけれど、「これ以上何も言うんじゃない」と止められた。
最後には、「医者を辞めることになるぞ」と脅されて私は黙ってしまった。
この時はまだ、皆川先生が病院を去ることになるとは思っていなかった。
それがわかっていたら、私だって最後まで黙ってしまうことはしなかっただろう。
でも、気が付いたのは皆川先生は病院を去った後で、私にはどうすることもできなかった。
最悪の精神状態でまだ未熟な研修医が患者を診れば正しい判断なんて下せるはずがない。ちょっと考えればわかることなのに、私にはその判断ができなかった。
「何か起きたのか?」
私の様子から敬も何かを感じ取ったらしい。
「うん。一人で暴走して、患者の状態が悪化して、病院を訴えるって騒ぎになって」
「はあ?」
だよね。その反応になるよね。
「皆川先生は何も言わなかったのかよ」
「違うの。私が報告を怠っただけで、先生は知らなかったのよ」
「いや、でも、それならお前が・・・」
「うん」
わかってる。
研修医の私が一人で判断して、指導医の承認もなく医療行為を行ったとなれば、私の責任が問われることになる。
ましてやそれが医療過誤裁判の案件となったら、医師免許のはく奪だってあり得る。
「で?」
敬の目つきが鋭くなっている。
「皆川先生は自分の責任だって、すべての責任をかぶってくれた」
「マジか」
もちろん私は何度も本当のことを言った。
部長にも、教授にも、諮問会の席でも、何度も「皆川先生は悪くないんです」と訴えたけれど、「これ以上何も言うんじゃない」と止められた。
最後には、「医者を辞めることになるぞ」と脅されて私は黙ってしまった。
この時はまだ、皆川先生が病院を去ることになるとは思っていなかった。
それがわかっていたら、私だって最後まで黙ってしまうことはしなかっただろう。
でも、気が付いたのは皆川先生は病院を去った後で、私にはどうすることもできなかった。