再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「仕事が嫌なら出てくれ」
まっすぐににらみつけ、皆川先生が強い言葉で言う。

「別に俺たちは」
「そうです、仕事が嫌だって言ったわけでは」

「同じことだろう。患者を選んでカメラに入るような人間と仕事はできない」

「それは・・・」
さすがにマズイと、研修医たちも青くなった。

うちの病院も、救急病棟をエリア分けして病室を確保したり、発熱外来を作ったり、今までにない対応を迫られている。
そのためには人員も必要だけれど、来院患者数そのものは少なくなって収入だって減っている。きっとこの状況はうちの病院に限ったことではなくて、皆川先生の所も同じはず。本来だったら自分の病院が忙しいはずなのに、それでもこうして来てくれる皆川先生の前であんなことを言えば叱られて当然。自業自得だと思うから、彼らをフォローする気はない。

「いいから、出ろっ」

皆川先生の荒げる声を初めて聞いた。
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